ドラゴンはベリルに諭(さと)され、その意思をこの剣に宿した。

 ドラゴンに「ディナス」と名付けたのはベリル。よって、この剣は彼の呼びかけに応えるという訳だ。

「今までのは演技だ。すまなかったな」

「! 演技? じゃあ色々と奪われたというのは!?」

「……嘘に決まっているだろう」

 それにほっとするヴァンパイア。安心したって無駄だろうに……ベリルは眉をひそめた。

「さっき討伐って言ったが……」
「俺たちはドラゴン討伐隊のメンバーだ」

 誇らしげにテイシンが語った。ヴァンパイアはそれにベリルを凝視した。

「討伐隊の……」
「ベリルはリーダーだったんだぜ」
「リーダーではない」

「俺たちをまとめ上げたんだ。立派なリーダーだろ」

「強大な敵の前で自然にまとまったというだけの事だ」

「あんたらしい言い方だな」