「……」

 影はゆっくりと静かにベリルの入っていった部屋に忍び込む。

 そこに、横たわっているベリルを見つけ素早く忍び寄った。

「!?」

 気配に気が付いてガバッと起き上がる。

「!」

 すると、目の前に青白い顔をした男がいた。

 割と端正な顔つきだが、耳は尖っている。目は……猫の目のように瞳孔が縦長だ。

「だ……」

 何か言おうとしたベリルの目の前でパチンと指を鳴らすと、深い眠りに落ちた。

 その男はベリルを横抱きに抱えると部屋から出て行く。

 ベランダに出ようとした時──

「ふあぁ~なんか音したか?」
「!」

 テイシンが物音に起きてきた。そして、ベリルを抱えた男と目が合う。

「なんだてめっ!」
「ふっふっふっ」

 男は不敵な笑みを浮かべた。