ベリルたちは王都に向かっていた。近くまで来たのだ、国王に顔見せもいいだろう。

 討伐隊の1人、テイシンもいる事だし。ベリルと人に変身したヴァラオムは、活気ある王都に足を踏み入れた。

 ドラゴンがファンタジアを蹂躙していた時とは違い、人々の表情は明るい。

 まだその傷跡は残っているものの、それはすでに過去の記念碑のようにも見える。

「お! ベリルじゃねぇか」

 荷車を引いた男がベリルに声をかけた。30歳ほどの青い瞳に赤茶けた太めの短髪。

 配達屋のテイシン。元討伐隊メンバー。小柄なベリルを少し見下ろす。

「久しぶりだな。王都は旅の途中か?」
「うむ。国王にも顔見せにな」

 ベリルの言葉を聞きながら、その隣にいる銀髪の青年を怪訝な表情で見つめる。

「ヴァラオムだよ」
「え!? あの白ドラゴンか!」
[以後、お見知りおきを]

 ヴァラオムはにっこりと笑った。

「今日、着いたばかりか?」
「うむ」

 ベリルが頷くとテイシンはニヒルに笑い、

「じゃあ今夜、一緒に飲もうぜ。俺の家に泊まっていいからよ」