一方、ヴァラオムはイバラに悪戦苦闘していた。

[魔法もだめなら、力ずくもだめ……こうなればままよ!]

 ヴァラオムは声を張り上げ、元の姿に戻っていった。

[いたたたたた!]

 イバラのトゲが体を傷つけていく。それでも構わずにドラゴンの姿に戻り、ようやくイバラの檻を打ち破る事が出来た。

[……本当に退屈せんわい]

 溜息を吐き出し、傷ついた翼を数回はばたかせる。

[東の荒れ地だったな]

 確認し、空へと飛び立つ。毒でもあったのか、ヴァラオムは徐々に意識が薄れていった。

[これしきの事で……]

 言って、回復魔法を唱える。

[救わねばならぬのだ……我が友を]

 ふらつきながら、ヴァラオムは飛び続けた。


 一刻も早く──!