「それが噂に聞くドラゴンの剣か。素晴らしい」

 にやけた顔に嫌悪感を抱き、レジカの呪縛から解放されたベリルは剣を鞘から抜いて男に斬り掛かった。

 しかし──

「君は寛大な人間だと聞いたが。ふむ、わたしへの恐怖からかね?」

 涼しい顔で言ってのけるレジカの先には、剣を突き立てる寸前で動きを止めたベリルの姿。

 悔しげにレジカを睨み付ける。

「物騒なものだな。こうしてやろう」

 レジカが右手を優雅に揺らすと、剣はベリルの手から離れ部屋の隅に浮いて止まった。

 ローブの中から赤い液体の入った小瓶を取り出し、床に流す。

 そして小さく何かをつぶやくと、そこからいくつもの光の筋が剣を取り囲み円形に透明の壁が剣を閉じこめた。

「さてと、最後の作業をしようかベリル」

 動けないベリルに笑って言った。