[!?]

 それは、まばらに生えている草の地面にじわりと浸みて消えた。

 それを確認し、男は何やら口の中でつぶやく。

 刹那──

[うっ!?]
「ヴァラオム!!」

 人に変身していたヴァラオムの足下から、鋭いトゲのイバラが勢いよく生い茂り彼を取り囲んだのだ。

「チッ……」

 ベリルは腰にある剣を抜いてイバラを切り裂こうとした。が、

「お友達にはここで待ってもらうだけだよ。抗わずに来なさい。君には最後の作業がまだだったからね」

「!!」

 その言葉で、ベリルは動きを止めた。

「最後の……作業?」

 記憶にある声に、ゆっくりと振り返る。その声が、彼の奥底にあった記憶を呼び覚ました。

「……レジカ?」