「死は誰にでも訪れるものよ。それがこの世の理(ことわり)。サナ……私の死を越えて、強くなりなさい」

 死を恐れてはいけない。それは、新たな安息……人は、死ぬまでにいかに輝けるか。だ。

 己の心に、いかに胸を張れるか。彼は、両親から本当の死によりそれを教わった。

 でも……

「これじゃ、胸を張って死ねないよ……」

 サナは1人、剣を片手に泣きじゃくった。

「父さん……母さん……」
「お前は強いな」

 背後から突然、放たれた言葉。驚いて振り返る。

「ベリル」

 僕が強いだって? バカにしてるのか……

 涙を乱暴にぬぐい、ベリルを睨み付けた。

 ベリルはエメラルドの瞳をサナに向け、ゆっくりと少年に近づく。

 その動きに、サナは少し見惚れた。