[お前といると退屈しない]
「それは良かった」

 皮肉を皮肉で返しながら、白いドラゴンと馬の手綱を引く青年は建物をあとにした。

 時はすでに夕暮れ時──

『ソード・オブ・ドラゴン』

 と、いつしか名付けられる事になる剣がベリルの腰で、そのアメジストを輝かせていた。

[処で、誰の存在が全ての力を凌駕するって?]

「さあ」

 とぼけて言った。太陽が傾きかけた平原、1人と1匹は呑気に歩みを進めた。


 END

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