10歳の時、どうしても武器を上手く扱えない自分に戸惑いと焦りを感じていたサナ。

 早くに亡くなった両親は、あんなにも武器を己の体の一部のように扱っていたのに……それが返って、サナを焦らせていた。

 父親は旅の途中でモンスターに襲われて死亡。その数年後、母親は病気で他界。

 父は偶然、モンスターに遭遇し襲われていた旅人を見つけ、彼らを守るために命を落とした。

 それを知ったのは、その旅人が集落に訪れて彼の遺品を母親に手渡したからだ。

 お礼と謝罪が入り交じった言葉。母は、凛とした瞳で彼らにこう言った。

「夫は、あなたたちの命を救ったのです。何を憎む事があるのでしょうか」

 戦士として、1人の人間として。当然のことをしただけです。

 それは、誇りを持った言葉。その言葉を聞いたサナも、父を誇りに思った。

 病気で死にゆく母も、最後にサナにつぶやいた。