「2~3日ゆっくりして準備をする」
「そうか……」

 色を取り戻したベリルの瞳を一瞥して、まだ騒いでいる集落の中心に目を向けた。

「いつでも、帰ってこいよ」
「!」

 セシエルの不安げな顔。柔らかな笑顔を彼に向けて、ベリルは無言で頷いた。

「……」

 星空を仰ぐ。ほんの数日の仲間だった者たちの顔を思い浮かべる。

 いつか、彼らの集落を訪ねてみようか……わずかな縁(えん)が、永遠になる事もある。

 例え離れていても、それは決して切れる事なく続いていく。

 それを、確かめてみるのも悪くない。再会した時、その瞳に何を見るのか。

 彼がこの先どんな出来事に巻き込まれるのか……それはまた、別のお話で。


 END


NEXT→「平原の魔法使い」