王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地

「言う事はそれだけか」
「聞けというから聞いただけじゃ」

 老人の言葉に、眉間にしわを寄せて頭を抱える。

「……」

 こういう返しが来る事は予想していた。何を言っても動じない事も。

「絶対、戻ってくるのじゃぞ」

 フン。と、鼻を鳴らしてベリルを見やる。

「……」
「返事はっ?」

「知るかボケ」

“ダダダダ!”

 言ってすぐ駆け出す。

「親になんて口の利き方じゃこりゃー!」

 長老の声は外にまで響き渡った。

 ベリルは駆け出した勢いで長老の家から出ると、そのまま静かに歩き出した。


 集落の入り口から外を見つめる。そこは光の無い暗闇。