王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地

 それから十数日が経ち、いつものように監視塔から周りを眺める当番の男。

「!」

“カンカンカンカン!”

「なんだ?」
「どうした」

 激しく鳴らされる鐘に、そこにいた全員が監視塔にいる男に目を向ける。

「帰ってきた! 2人が帰ってきたぞ!」

 その声に歓喜をあげる。

「長老さま! ベリルたちが帰ってきましたよっ」

 サナが長老の家に駆け込む。

「!」

 老人は一瞬、ハッとして立ち上がった。そして杖を持ち、集落の入り口に向かう。

 入り口まで来ると、すでに人々が集まっていた。みんなが指さす方を見やる。

「……おお」

 その目に、ゆっくりと馬を進めるベリルとセシエルの姿。