「なんとお呼びすれば良いかな」
「ジェイド。と、幼少の頃の名です」

 長老は頷いて立ち上がる。

「ここはわしの息子の家だ。自由に使ってくだされ」

「! 彼は貴殿のご子息であったか」
「3歳の時に王都で拾いもうした」

 それにジェイドは驚く。

「それが、あなたさまを救い出すとは……運命とでも言いましょうか」

「ドラゴン討伐に選んだのだそうだな」

 ジェイドの言葉に、老人は目で応えると小さく笑って視線を落とした。

「あやつなら、何かしでかしてくれるのではないかと……。親の欲目ですかな」

「いや、貴殿の心よく解る。彼は、何かを成し遂げるだけの器量を持ち合わせていると見た」

 老人は、その言葉に顔を下げ苦い顔をしながらつぶやいた。

「……ありがとう」