「あやつが……」

「それで彼の護衛ついでに、戻ってきたという訳です」

 ベリルがこの人物を見つけたのはまったくの偶然で、小さな村にいたとか。

 そして数十日前ベリルはカーティスに集落に戻るように促し、自分の家を使えと言った。

「しかし……どういう事なのじゃ」
「それは本人からお聞きになられた方が」
「すまぬ。私が不甲斐ないばかりに」

 そうして、その人物は淡々とだが力強い口調で語り始めた。

 それに聞き入る長老の顔は、彼が話しを進めるにつれ強ばっていく。

 話を終えた合図として、小さく溜息を吐き出す頃には老人の手は小刻みに震えていた。

「そんな、事が」

「討伐を終えたあと、ベリルから何かしらの連絡があると思います。その時は……」

 カーティスは険しい表情でそのあとの言葉を切った。

「では、それまでここにいるとよろしかろう。ここは辺境の地、安心してくだされ」

「かたじけない」