「あやつは、あの頃すでにドラゴンの気を感じ取っていたのじゃろうか」

 手にした宝石を見つめて、ぼそりとつぶやく。

 それは、鮮やかな緑の宝石。回復の魔法が充てんされているエメラルド。

「……」

 エメラルドを握りしめ、老人は目を閉じる。

「この世の全てに祈る。どうか、彼らを守ってくれ……」


 彼が、そう強く祈るほどに大気は乱れていた。