老人は、事あるごとにベリルを呼び戻した。その度にベリルは大きく溜息を漏らす。

 だが、ベリルはそれを嫌っている訳でもなかった。

 呼び戻される度に、集落の子どもたちに自分の経験した事を聞かせる。

 子どもたちの目は輝き、それに聞き入った。集落にいる間は、子どもたちの剣の訓練にも立ち会い、セシエルと共に剣の腕も高めていった。

「……」

 ベリルは時折、空を仰ぐ。老人はそれにならい同じように空を見上げた。

「?」

 何を見ておるのじゃ?

「!」

 その瞳に、険しさを見る。ベリルの戦闘センスには、誰もが目を見張るものがあった。

 気を読む能力にも優れている。

 その目に一体、何を見ている……?