そのせいもあってか、長老はベリルにはひとしおならぬ愛情を注ぐようになった。

 と、いっても……

「こりゃー! 早く帰ってこんかっ」
「まだ旅に出て半年しか経ってないぞ」

「何を言うか! 17歳にもなってないくせに、もう旅に出おって! 寂しい老人を1人にするでないっ」

「1人……?」

 ベリルは眉間にしわを寄せた。

「よくもそれで『1人』と言えたな」

 老人の周りに、幾人もの子ども。彼の孫たちだ。

「ム、それは……」
「意味なく呼びつけるな」

 ベリルは溜息を吐き出す。

「親に向かってなんたる言い草だ! 鍛え直してやる」

 持っている杖を振り回す。それにベリルは口の端をつり上げた。

「やめておこう。老人いじめになる」
「なんじゃとぉー!」