「い゛っ!?」

 聞いた途端、ナイフを手から落とした。

 他の2人はそれに驚いて、震えている男を見つめた。

「おい、どうしたんだよ」
「こ、こいつ……討伐隊の奴だ」
「!? ドラゴンの?」

 3人の見つめる目に、ベリルはにこりと笑いかけた。


[随分とあっけなかったな]
「うむ」

 ドラゴン討伐隊の1人だと知った男たちは、戦う気力が失せて大人しく捕まった。

 街の警備兵に連行されていく。ヴァラオムはそれを一瞥し、ベリルに視線を移す。

[……戦ったのか?]
「いいや」

 そうか……何かホッとしたようなヴァラオムの声。

 それに気付かないフリをして、ベリルは空を仰いだ。