王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地

「お前たち、何か勘違いをしたようだな」

 ベリルの言葉に、男たちはピクリと反応した。

「勘違い……?」
「私は旅の者だ。領主の子ではない」
「!? マジでっ?」

 男たちは顔を見合わせた。こんな凡ミス、どうすりゃいいんだ?

「……じゃあ、帰っていいよ」
「そいつはすまんね」

 しれっとドアに向かうベリルに、1人の男がツッコミを入れる。

「って帰すと思ってんのか!」
「チッ」

 ベリルが小さく舌打ちした。もっとも、彼らを野放しにする気は無いが、こんな狭い処で戦うのは避けたかった。

 何故なら、彼らに手加減出来そうになかったからだ。

 持っている武器はダガーのみ。しかし、負けるハズがない。

 本当に自分が不死になったのなら……