夕飯までにはかなりある、ベリルとヴァラオムはそれぞれに屋敷を見回る事にした。

 大きな庭園に出たベリル。色とりどりの花々に目を細める。

「……」

 何とも様になる光景に、シエラは息をするのも忘れて見つめていた。

「あの、ベリル……」

 照れながら駆け寄るシエラ、その時──

「!?」

 何者かがベリルに背後から襲ってきた。

「きゃああ!?」

 あっという間に殴られて意識を失う。

 ガクガクと震えているシエラに、3人の人物のうちの1人が近づいた。

 その耳元で小さくつぶやいて、ベリルを連れて去っていった。

「……どういう事?」

 シエラはポカンと消えていった方向を眺めた。