その瞳は、相変わらず空を見つめている。ここ最近になって、大気の揺らぎが増していた。

 悪意に満ちた大気に、彼は集落に戻る事を決意する。

 旅の間にドラゴンの爪痕を何度か目撃し、これはドラゴンの影響なのかと眉をひそめる。

「多くの部族から強い者を招集している。と、聞いたが……」

 俺の処からは誰が選ばれたのだろうか。

「ベリルあたりかな?」

 あの『若ジジイ』……ライカはクスッと笑った。

 そしてすぐ、目を据わらせて眉間にしわを寄せる。

「怒ってないフリして、さらりと『老け青年』とか言いやがって」

 口でも腕でもあいつに敵わねぇ……なんだかムカムカしてきた。

 無表情で俺に嫌がらせしやがるんだあいつは。