数十日を要してその村に到着したのは、虫の声が心地よく鳴り響く夜中。

「!」

 ベリルたちの目に初めに飛込んできたのは、月の明かりに照らされて輝く金色の髪。

 誰しもが美しいと溜息を漏らす輝きだった。

 それがすぐにマルタだと、ユリエスは声をかけようとした──

“ドビシ!”

「いてぇ!?」
「どうしてこんな処にあんたがいるの」

 後ろからエナがユリエスの後頭部にチョップをかました。

 黒髪の少女、妖精のエナがベリルに目を移す。その背には綺麗な羽。

「来て、くれたんだ」
「うむ」
「あ! ベリルさん!」

 遅れてマルタが気が付く。軽快に駆け寄り、そこにいたユリエスの顔を見て眉間にしわを寄せた。

「なんであんたまでいるのよ」
「悪かったな……」

 この少女が“さん付け”するのはごくまれだ。

 物怖じしない性格に、ベリルは3人との出会いを思い起こす。