「ええっ!? マルタたちの処に行く途中なの!?」

 地に降りて、聞いた言葉に目を丸くした。

「ついでだ、お前も来い」

 ベリルの言葉はすでに決定、反論する余地は無い。

 ユリエスは仕方なく肩を落として同行した。

「アップルパイ1つでエナの処まで行くなんて……」

「元気でいるかも確認出来る」

 アップルパイはきっかけにしか過ぎない。

 そうしてベリルたちは、エナたちのいる村、ナーディンに足を進めた。

 流浪の民の集落も辺境にあるが、妖精の住む村ナーディンもまた辺境にあった。

 国の端から端を縦断する形になる。

 高値で売買される対象である妖精。その村にマルタは住んでいる。

 すでに滅びたとされている月灯の民の生き残りであるマルタ。

 それにもめげず、彼女は明るく元気に生きている。