国境でチェックを終え、3人はモンシェの国に足を踏み入れる。

 草原と森の多いファンタジアよりも、岩肌が露出しているように感じられる。

 この国は鉱石の加工が主な産業だ。王宮のある王都は、ここからさらに西にある。

 いくつかの村や集落、街を経由して王都アルンカノに到着した。

 朝にリュシス王との謁見を依頼し3人は昼過ぎ、王宮の訓練場に通された。

 王宮の離れから続く訓練場。その出入り口に豪華な椅子が置かれ、そこに座しているのは白髪交じりの薄い金髪に水色の瞳をした50代ほどのリュシス王。

 その横には槍を持った側近に、反対側には近衛が数人。

 そして、ユリエスたちを威嚇するように数十人の兵士たちがずらりと並んでいた。

「ユリエス。久しいな」

 見た目のイメージより高めの声が、高圧的に発せられた。

「……」

 ユリエスは喉を枯らせて、大きく唾液を飲み込む。