隣国モンシェはファンタジアのような特殊な種族は少ない代わりに、特殊な技術を多数持つ。

 ユリエスの持つ鍵もその1つだった。

 メイジの力をアイテムに込める事を重点的に行っていた国だ。

 それも今では廃れて消えた技術が多い。それほどに平和だともいえた。

 隣国モンシェ、リュシス王はそのアイテムの収集にハマりユリエスの持つ鍵に目を付けた。

 王に呼ばれ、直々に頼まれたがそれを断り続け相手もそろそろ限界に近かった。

 逃げられないと思ったユリエスは「ベリルを差し出せば……」という暴挙に出たという訳だ。

 本人はそれに、さして気にも留めていない様子で馬の手綱を引いているユリエスの隣で呑気に景色を眺めている。

「……」

 やっぱり大物だなぁこの人……なんて感心する他は無い。

 しばらくしてヴァラオムがベリルの馬に乗って合流した。

 そのまま隣国に足を進める。