ベリルは腰の後ろ辺りから何か取り出した。

 それは、小さなナイフ。抜くと普通のナイフに見えるが……

「アダマンタイトのナイフだ」
「! 金剛鉄!?」
[手に入ったので私の炎で鍛えた]

 最も硬く、ミスリル銀やオリハルコン同様に希少価値である金属。

 この世界において、それを加工出来る者はかなり少ない。

 秘伝の技術が必要な金属である。

[いやはや、加工には苦労した]

 懐かしむように、あごをさすって語るヴァラオム。

 あまりの難しさに完成した頃には数日、炎を吐けなくなるほど疲労していた。

 それをユリエスに手渡し、腰に下げられている革袋の1つをあさるベリル。

 ナイフの上に革袋から出されたものが積まれる。

「ヴァラオムのウロコだ」
「ええっ!?」

 ドラゴンのウロコも定期的に生え替わる。それを拾って、旅の財源にしているのだ。