いくつ目の街を越えただろうか、割と賑わいを見せる街──

 ベリルたちはその街、レクネに立ち寄っていた。

 彼は馬を預けるために厩舎(きゅうしゃ)へ、ヴァラオムはその間に宿の手配。

 厩舎に預けたベリルは、ヴァラオムと合流するために市場の入り口へ向かう。

 その時、背後から──

「ベリルさん!」
「! ユリエスか」

 見慣れた少年の姿。白い髪にセルリアンブルーの瞳、腰には不思議な鍵がいくつも下げられている。

 かつて、エナやマルタと行動を共にしていた少年だ。

 その経緯や理由を、ベリルは知る処ではないが。

「久しぶりです。旅の途中ですか?」
「うむ。お前も元気そうで何よりだ」

 相変わらず年寄り臭いしゃべり方に、ユリエスは苦笑いする。

「あ、丁度良いや。手伝ってくれますか」
「ん?」

 ユリエスは、ベリルを自分の馬車に案内した。