そんなこんなで、そろそろ旅に出ようと思っていたベリルの元に手紙が届いた。

「?」

 いぶかしげにそれを開く。

「……」
「どしたの?」
[何が書いてあるのだ?]

 眉をひそめたベリルの脇から、セシエルとヴァラオムがのぞき込んだ。

「……」
[……]

 2人は無言でその文字を見つめた。

 手紙に書かれていたものは──


『アップルパイ』

 の、一言。

 大体の予想は出来ているセシエルとベリル。

「これって……エナちゃん?」
「だろうな」