次の朝──朝食の準備をしているベリルの後ろにレインが立っていた。

「旅って……」
「ん?」

「旅って、1人じゃないとだめなのか?」

「いや、特に決まりはない」

 それを聞くとレインは無表情で、出来上がっている料理をテーブルに運び出した。

[おはようレイン]

 ヴァラオムがテーブルの椅子に腰掛けて笑顔で挨拶した。

 それに無言で一瞥したレイン。ぼそりと耳元で、

「7年後、僕が旅に出たらお前はお払い箱だ」

[へ……?]

 目を丸くしたヴァラオムに、キッチンに向かいながらさらに発する。

「僕が守る」
[……]

 聞こえるか聞こえないかの声だったが、ヴァラオムは固まった。

[ほ……本当に思慕の念なのかなぁ]

 1人、頭を抱えてつぶやいた。


 END

【たどり着く明日】 Special Thanks→

「氷眠の民」レイン
作 家:村上徠

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