レインは言いながらベリルに近付く。

「僕がここに来て、誰も理由とか聞かないしあんたの家に住んでも何も言わない」

「聞く必要が無かったからだよ。私の家に住む時点で私の知り合いだと解る」

「住みやすそうに見えたからとか思わないのか?」

 ベリルはそれに苦笑いを返した。

「むしろ住みにくいハズだ。ほとんど留守にしているし、何もなくて返って不安になる。とも言われたよ」

 肩をすくめる。

「誰をも受け入れる。ここはそういう処だ」

 ベリルはそう言って武器の手入れを始めた。レインはそれに眉をひそめる。

 誰も信じられなかった彼にしてみれば、それは不思議で理解出来ない事である。

 それでもここに居続けたのは、セシエルがいた事もあるし……ベリルがいずれ戻ってくるからだった。

 だが……彼に会ってどうしたいのか、どうすればいいのか。そこまでは考えられなかった。

「……」

 レインは拳をきつく握りしめる。感情が入り交じって上手く言葉にならない。