王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地

 レインは深刻な顔つきでぼそりと、

「て事は……追いつける訳か」

[へ……?]
「なんでもない」

 そしてまた気が付いたようにつぶやく。

「いや、むしろ追い越せる?」
[何の事だ?]

 首をかしげているヴァラオムに目も向けず、すっくとレインは立ち上がった。

「なんでもない。ありがとう」
[う、うむ……]

 レインが普通に礼を言った……ヴァラオムはそれに驚きながら、再び草の上に寝ころぶ。

[……いやホントに、今のどういう意味!?]

 ガバッと上半身を起こし、レインの影を目で追った。


「! おかえり」
「……」

 暖炉の前でくつろいでいるベリルを見つめる。

「ここの奴らはみんなお人好しだ」
「!」