「べりるは男の子よ! お兄ちゃんとは、けっこん出来ないのっ私とするの!」

「こら、2人とも。もう寝る時間だろ」

 セシエルが言いながら入ってきた。エリナとダグは渋々、駆け足で帰って行く。

 セシエルはニコニコと笑いながら、

「子どもたちはお前にやらん」
「そのつもりはない」
「くっだらない!」

 何故か怒っているレインを2人は見やった。

 レインは立ち上がり入り口に向かう。

「どこに行く?」
「散歩」
「集落の外には出ないようにね」

 セシエルの言葉に目で応えた。

「!」

 しばらく歩くと、地面に寝ころんでいる人影が映った。

 銀の髪、褐色の肌。金色の目がレインを見てにこりと笑う。

[レインか、久しぶりだな]
「……誰だ?」

 それに上体を起こした。

[ヴァラオムだよ]
「! あの時のドラゴンか」