「……」

 あの時の言葉は、こういう意味だったのかな?

 サナは剣は扱えなくとも、その知識は豊富だった。時折、集落に戻ってくるベリルから知識を吸収していたのだ。

 サナには他にはない記憶力があった。そして、それをより良く活用する術(すべ)も持っている。

「まったく……どうしてこう悪意が充満しているのじゃ?」

「!」

 長老の言葉に我に返る。サナとパドメは、空や平原を見回した。

 集落の者、全てがその悪意を感じ取っていた。

 黒い意志……それが大気を揺るがせ、モンスターをさらに凶暴化させているように感じられた。

「ははうえ~」
「ははうえ~」

 パドメに駆け寄る子どもたち。彼女は優しく2人を抱きしめた。