[今のは氷眼の民の子では?]

 ヴァラオムがひょこっと顔を出す。

「ベリル、帰ってきたのか」

 セシエルが笑顔で迎えた。シルヴァブロンドの肩までの髪と赤茶色の大きな瞳。年の頃はベリルと同じだ。

 ドラゴン討伐を済ませ、彼は集落でまた子どもたちの教育係として生活している。

「レインが何故ここにいる」
「あ~お前が旅に出てすぐに来たよ」
[ほう]

 横から出てきた見知らぬ人物に、セシエルは首をかしげた。

「誰……?」
[この姿では初めましてかな]

 彼がヴァラオムだと知って、セシエルは驚きに目を大きくした。

「500歳なのに若!」
[ドラゴンの500などまだヒヨッコだ]
「論点ズレてるぞ」

 ベリルは呆れて小さく溜息を漏らし、話題を戻した。

「私が出てからという事は、かなり滞在しているのだな」

「え。おまえ引き取るんじゃないの? おまえんちに住んでるよ」

 その言葉にベリルは険しい瞳になった。そして自分の家の方向に目を移す。