「そんなどうでもいい事を議論するなというのに」

 ベリルは少し語気を荒くした。

「本当に自分に対して無頓着なんですね」
[ここまで来ると面白いだろう?]
「確かに」
「……どういう意味だ」

 当惑したような顔をして目を据わらせているベリルをグレードは見つめる。

「……」

 普通、自分の体の事は知りたいと思うだろうに……いや、まあ変な方向に会話が行ったのは確かだけど。

 これが彼なんだろうな……みんながみんな、そういう納得の仕方をする。

 そうしてベリルたちは王都を発った。

 彼にとっては踏んだり蹴ったりな出来事ばかりが巻き起こった。

「王都にはロクな記憶が無い……」

 ベリルはのちにそう語る。


 END

※ウィルム
[イギリスの伝承]
Wyrm(ウィルム)【古英語】
Worm(ワーム)【英語】
Orm(オルム)【古ノルド語】
Vurm(ヴルム)【ドイツ語】
手や足、翼のないヘビのような姿をしたドラゴン。水辺に棲み、毒の息を吐く。
後には手や足、翼のあるものと想像されるようになり、ドラゴンと同一視されるようになった。

【暗き世界の花嫁】 Special Thanks→

「王都の民」テイシン
作 家:艶道 広志

「癒やしの民」グレード、バジル
作 家:+ka!na&ta

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