俺は出来るだけ凛に迷惑を掛けまいと、ベッドから起き上がり急いで着替えた。

そして、教科書をバッグに詰め、ブレザーを手に取り部屋を出た。


躓き気味に階段を下りると、母さんが玄関で靴を履いていた。



「あ、准起きたの?
 お母さん行くから、じゃあ行ってきますっ」


「んん」



母さんは駆け足で出て行った。


ダイニングルームでトーストを銜えていると、凛が歯磨き粉の臭いを撒き散らしながら、近付いてくる。



「磨きながら来るなよ…」


「ごべぇん、ごベん」



少し泡を吹きながら、凛は洗面所に戻っていった。

2分ほど経つと階段を駆け上がる音がして、また駆け下りてくる音がした。



「あーっ、疲れた。
 バッグ忘れちゃってて」



凛は疲れた顔して、でも笑っていた。



「今日から、高2!
 同じクラスになれると思う?」


「ん…どうだろ?」


「でも、でもなれるといいねっ」



俺はただ頷いた。