呼び掛けられた事に気付き

 慌てて振り返る。


「し…失礼しました!えっと こ…こちらのお部屋は以前から空き部屋となっており、どなたもお使いにはなられておりません。」


──どうゆうこと?


と、心の中で聞き返したが メイドの反応はなかった。


「…でも化粧品があったわ。」


メイドはなるほどと頷く。

質問の意図が解ったようだ。


「化粧品やドレスの身の回りの物は、昨晩 姫君がお休みになっている間に 皇太子殿下が姫君の為にと 御用意なさった物です。」


そこまで息継ぎする事なく話したメイドは

ホッと胸を撫で下ろした。