「遥加、おはよー!」
「……おはよ」
教室に入り、元気に挨拶してきたのは
知羽 明里(トモハネ アカリ)。
クラスメートでわたしの友達。
もちろん、知哉や孝太のことも知っている。
「うっわー朝から超不機嫌!
なになに?
今日も知哉君と学校来たんじゃないのー?」
!!
わたしの挨拶を聞き、いきなりそんなことを言い出す。
「明里、声でかい!」
慌てて明里の口を押さえるが、それは遅かったようで。
「遥加…さん?」
後ろから、とても丁寧な言葉遣いとは裏腹に
低い、冷たい声がする。
き、来た…!
「は、はい…?」
恐る恐る振り向くと、その声の主、中崎 百合(ナカザキ ユリ)が立っていた。
この人はわたしのクラスメートなんだけど、知哉のファンらしく、なにかと突っかかってくる。
「あなた、ホントーに知哉君の幼なじみなだけなんでしょうね?」
「は、はい!
滅相もございません!」
ていうか、文法めちゃくちゃ。
支離滅裂だった。
「あら、
それじゃ、必要以上に話さないでくださる?」
澄ました顔で飄々と話す。
んなっ…!!
わたしが、一体いつ、どこで、必要以上に話したと!!?
知哉は部活をやっていて、わたしは帰宅部。
当然、帰りは話すことなんて出来ない。
家に着いてからだって
お互い、宿題や勉強。
めったに話す事なんてない。
今日だって知哉の朝練が休みだから、一緒に来れただけだし…。
そう考えてると
教室のドアが勢いよく開いた。


