「な、エリカ。盗聴器、どうする?」



シチューを口に運ぶ私に、ふと口を開く蓮。



「ん。盗聴器に気付く人間なんてそうそう居るもんじゃないわ。気付かないフリをするしかないわね」


「了解‥」



私も平野さんを疑いたくなんかない。


だけど、平野さんは、なんか‥におうんだよね。



「あ、今日の収穫は?」


「‥‥」


「はー、収穫0か。」



わざとらしく溜め息を漏らす。



「‥‥お前のせいだろ」



ボソリ、呟く蓮の一言は聞かなかった事にしよう。



「な、今日誰かと抱き合った?」



黙々と夕食を食べる私に、蓮が尋ねる。



「何故?」



高野くんの事かしら?



「いや、なんでもない」


「そう」



やっぱり匂いで、わかっちゃうのね。