家に着くと、私はすぐに夕食の支度に取りかかった。
蓮は多分お風呂かな。
きっと、体に残る血の臭いが嫌いなんだ。
つん、と鼻につくあの臭いを好きな人なんて、きっといないだろう。
「夕飯出来た?」
夕食が出来上がった頃、蓮が丁度お風呂から上がってきた。
「丁度出来たとこ」
蓮の質問に答えると、机の上に夕食を並べた。
「お、うまそうじゃん」
椅子に座った蓮がシチューを見ながら呟く。
「ん、当たり前」
蓮の言葉に、自慢気に言うと、私は蓮の向かい側に腰かけた。
「いただきます」
「どーぞ、召し上がれ?」
きっとおばさんの味とは、全然違うんだろうけど、蓮は「美味しい」と言って食べてくれた。

