今日のご飯は、蓮の好物にしよ。
「蓮、スーパーに寄って」
「了解」
それから暫く走って、バイクは家の近くのスーパーに止まった。
「蓮、何食べたい?」
「は?何でもいいし」
冷たいなー、
私、一応命の恩人だと思うんですけど。
「あ、シチューにしよっか♪」
昔、一度だけ蓮がリクエストしてくれたシチュー。
美味しいって褒めてくれたっけ。
「久々だな」
シチューはその時以来作ってないけど、確かおばさん‥蓮のお母さんの得意料理だったな。
「蓮、言い忘れてたけど、バイクに盗聴器ついてたわよ」
「は?」
やっぱり気付いてなかったのね。
「平野優衣、要注意人物ね」
「‥‥‥‥」
蓮は、やはり複雑な表情を浮かべていた。
そんなに、彼女、平野さんを信頼してるのね。
蓮から匂う香水の甘い匂い。
密着しなければ匂いなんてうつらないから、平野さんを送ったのだろう。
そして、蓮も気付かない間に盗聴器を仕掛けた彼女。
一体何者なんだろう。