めんどくせぇな ‥
なんて思いながら、俺は会長室を後にした。
「さっさと帰るかな」
「帰るの?」
靴箱を出ようとした時、後ろから声をかけられた。
「優衣か‥」
「帰るの?」
名前を呟いただけの俺に、もう一度同じ質問をしてきた。
「おう」
「会長さん、なんて?」
「授業出ろとか、課題出せとかその他もろもろ‥」
「私帰るわ」
え、聞いといて興味なしですか。
そう言った優衣は、俺の先を歩き出した。
「神藤」
「ん?」
「送って」
「やだ」
「どうせバイクでしょ」
なんでコイツ知ってんだよ‥。
「俺用事あ‥‥────」
「先生に明日言っとかなきゃ‥」
げ‥‥‥
バイク通学って“停学”だろ?
めんどくせぇ‥
「ホント、うざい女」
「あら、それって褒め言葉?」
そう言って余裕気な笑みを見せる優衣。
そんな優衣を見て、俺は秘かに溜め息をついた。

