でもさ、不思議と颯太の顔は


悲しそうじゃなかった。



やりきったって感じの顔。


そして、明日卒業するんだ。




『つか、これ何?』

「野球ボール」



あの日以来、あたし達の関係に変わりはない。昔みたいにバカ言える仲になったぐらいだ。


「卒業記念の公式ボール。箱詰めするの手伝ってよね」


『はいはい』



卒業記念としてのボールを渡すのが伝統であたしがその最終確認をすることになったわけで‥


颯太に無理矢理手伝わせている。



いやいや言うくせに手伝ってくれるんだよね