今日はとうとう顔合わせの日。


朝から気分は重く、沈んでいた。



『悠梨愛、車に乗りなさい。』


父に言われて、ベンツの後ろに乗り込む。


車はオプションで、外から見えないようにしてある。



「お父様、どこで顔合わせするのですか?」


“お父様”なんて使いたくもない。



親子なのに様付けしなきゃいけないなんて!!


『相手の家の離れだ。私も場所は知らん。』


知らないのにつれていくのか・・・



その時私の携帯が鳴った。


ディスプレイには“篠原恵美”と表示されていた。


「もしもし?」



『悠梨愛さん?お伺いしたいんだけど、確かに顔合わせよね?』


前から言ってあるのに。



「ええ、確かです。それが何か?」


『あ、ううん。確かならいいの。それじゃあね。』


一方的に切られた電話。