「・・・悠梨愛?大丈夫か?」
ほとんど目を合わせてくれなかった悠梨愛が、やっと俺を見た。
『先生、私先生の事が好きだよ。』
なんだ?いきなり。
てゆうか・・・か、可愛い・・・
採用試験に合格して、初めて教師として学園に来た時。
教員住宅ではなく、家から出た時だった。
送迎専用の車に乗り込もうとしている、悠梨愛を見た。
本当に一目惚れだった。
中3とは思えない大人っぽさで、運転手に笑いかける笑顔は柔らかかった。
最初の印象は“綺麗”だった。
まわりの生徒より、少し前を歩いている。
一目惚れなんてした事が無かったから、正直戸惑った。
本当に好きなんだろうか、って・・・
授業で、学校生活で話すうちにはっきりしたんだ。
俺は悠梨愛が好きなんだと。
篠原家との婚約を破棄して、西園寺家に婚約を申し込んだ。
ダメもとだった。
許可が出た時は本当に嬉しかったんだ。

