私達はずっと無言でいる。


と言うか・・・何を話したらいいのか分からない。


先生と誠さんが私を取り合う形になってしまった。



ずっと小さい頃から願っていたこと。


将来の相手は自分で選びたい。



その願いはある意味叶えられていた。


それなのに、誠さんの存在が私をグラつかせる。



お父様の部屋までの、長い長い沈黙を破ったのは先生だった。


『汐美さん、先に行っていて貰えますか?』


『・・・いいですよ。ですが、なるべくお早めに。』



先生は頷いて、私の手を取った。


えっ?私も??



ふたりでひとつ用意されていた、私達の部屋。


部屋に入ると、先生が振り返って抱きしめられた。



「せ・・・先生??」


『秦。俺は、秦だろう・・・悠梨愛・・・』


「秦・・・?秦・・・秦っ!!」