【短編】スキまでの距離




でも、言葉の代わりに涙だけがぼろぼろと出てくる。


やっぱり声には出して言えない。








「ごめん。
泣かせるつもりはなかったんだ。」


そんなあたしの気持ちは伝わらないまま。

そう言って頭をぽんぽんと撫でてくれる。
困った顔をして笑う。

優しい佐藤くん。
大好きな佐藤くん。






「嫌われてないならいいんだ。
変なこと聞いてごめんな。」


しばらくそのまま頭を撫でていてくれる。




触れられた場所が温かくて、
胸がぎゅっと締め付けられる。









好きですって言わなきゃ。

伝えなきゃ。



早く伝えなきゃ。
誤解されるなんて嫌だよ。