せっかくのチャンス。
なのにやっぱり何も言えないでいた。
佐藤くんも何も話さない。
2人無言で歩く。
どう切り出そうかと思って悩んでいると、
「結城、今日あんまり話せなかったな。」
先に話しかけてきたのは佐藤君で、
にっこり笑ってあたしを見ている。
「う、うん。そだね。」
照れてしまって足元しか見られない。
でも頑張って話さなきゃ。
せっかくのチャンスだもん。
「佐藤くんなんか忙しそうだったから。
えっと・・・大変そうだったよね。」
こんなことが言いたいわけじゃないのに。
気の利いた言葉なんてひとつも出てこない。

