【短編】スキまでの距離




受験も一段落。

あたしもなんとか志望大学に合格して、当然佐藤くんも大学は決まっていた。

あたしの頭じゃ到底無理な大学。

やっぱりすごいな。








そして卒業が近づいてきた。

人気者の佐藤くんは毎日のように女の子に呼び出されていた。




「みんなよくやるよねぇ。」

そういって麻紀ちゃんは教室を出ていく佐藤くんを眺めていた。



「桃花は?
いいの?言わなくて?」

廊下を見ていたのかと思ったらあたしをみて
麻紀ちゃんが聞いてくる。


「そっ、そんなの!
む、無理だよ・・・。

言えないよ。」


あたしは下を向いて言った。



「バレンタインも結局何にもしてないんでしょ?
もったいない。

桃花はもっと自信持った方がいいよ!


あたしはお似合いだと思うけどなぁ。」




にっこり笑って麻紀ちゃんは言う。
嬉しいけどそんなわけない。