【短編】スキまでの距離




「じゃあ、今日はごめんな。
早く寝ろよ。」


佐藤くんはふっと笑って、
またあたしの頭を撫でた。



「また、明日な!」



そう言って一度も振り返らずに帰って行った。




結局何も言えず。
送ってもらったお礼さえも言えないまま。

小さくなっていく佐藤くんの背中を見送った。

















あたしはなんて臆病な生き物なんだろう。
たった2文字の言葉も言えないなんて。


でも。


言ってしまったら、
もうあたしには笑いかけてもらえない気がして。
怖くて言えない。










もう少しあたしに勇気があればいいのに。



そしたら言えるよね?
あなたが好きですって。